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■kuroyanagi taeko
言葉作家:黒柳多恵子がが生み出す「コトノハ」
創刊号はエッセイ。
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「決断」

小学生の私は詩の授業で思いを言葉で綴る面白さを知り
中学生になった私は思いを言葉でカタチにすることで幾度と無く救われました。
その時私にとって言葉は多分異常に強い自意識のはけ口。
きっと、思春期特有の。
自分のなかの汚さとか醜さを戸惑いながらも受けとめて
そしてそうやって厳しくも言葉にしてきたおかげで
私はあの頃の自分の気持ちを今でも手に取るように
そしてとても鮮明に
記憶として甦らせることが出来る。

時として
私にとって言葉は弱さを覆い隠す鎧のようなもので
時として
自分の弱さを露呈するきっかけにもなった
そして私は言葉のチカラを信じていた。強く。

高校生になる前に自分の将来を考えたとき「伝えたい」そう、思った。
私が見たものを 感じたことを
誰かに知って貰いたい
そんな傲慢とも取れる、強い憧れだった。
でも、当時そんな自分の思いつきが、とても素晴らしいものに思えてしかたがなかった。
ただ、心配という名目の
自分よりずっと大人のひとの言う現実が、大きく、
あの頃のちっぽけな私の自信はいとも簡単に崩れてしまうのだけど。

「言葉じゃ何も伝えられない」
友達が言ったこの言葉が今も私のなかであれからずっと固いしこりとして残っている。
ずっと、ただ、苦しかった。憤りと、悔しさと。そしてどうしようもなく、かなしかった。
確か、大好きだった彼に言われた心無い一言を、私が嘆き、彼女に愚痴った時だったから、
多分、励まそうとしてくれていたのだけど
−思ってなくったって、口にしてしまうこともあるでしょう
 だから彼もそういうつもりじゃなかったんじゃないかな−
そうだろうか、そうだろうか。私は何度も頭のなかで呟いた。
そしてその答えははっきりと出ないまま、未だに、苦しんでいる私。

その時ただ自分のなかだけでひとつ決めた。出来るだけ、思ってもいないことは口にはしない、と。
抵抗、だった。言葉のチカラを私は、信じて居たかったから。
言葉を発することは無意識なことも多くて、私が決めたことは自己満足でしかないのだろうけど
そう決めたことで、私のなかで確実に何かが保たれた。

守りたかったんだと、それが私の答えなんだと、今は思う。思いつくことはその時々に出来る精一杯のことでやってきた。
自分にとって仕事の位置を考えて、大切にしたいものは何かと常々自問しながら生きてきた。
だから今まで自分がしてきたことが間違っていたとも、遠回りだとも思わない。
それがあったから、ここに居る私が、今この選択をしようと思えたのだから。

『今がその時』

お守りのようなこの言葉を私は一日に何度も呟く。
前を向こうと、一歩踏み出そうとしているひとには
きっと背中を押してくれるものも用意されているのだと思う。
偶然とは思えないくらい、この決断をするのが決められていたかのように
私には用意されていた。

今思えば私が決めたことは、興味のあることは“何でもやってみよう”、ってことだけだった。
臆病な自分に気がつかないほど、
色んなことを考えすぎて自分で自分のことを分かりにくくしていたことに気がついて
自意識とかプライドを自分から少し外して、ただ、素直になってみよう、と。

そして、見えてきたのは、臆病な自分。そんな自分がやりたいと思っていたこと。
あまりにシンプルで、強く、大きいもの。

背中を押してくれた全てのものに、感謝。



マエムラ:
彼女の生み出す言葉が、これまで何人の人の「」キーワードになっただろう。
私もそのひとりなのだけれど。

「今がその時」 そう決めるのは結局、自分なんだ。
自分の想いに正直になる事って、意外に難しくて確信になるまで時間がかかるものだと思う。

「決断とは決めて断ち切ること」だと誰かが言っていた。

「そのまんまじゃん」と思っていた当時の私は 結局なにも決断することが出来なかった。
失いたくないもの、誰にだってある。
それは「時間」だったり「安心」だったり「体裁」だったり色々。
「何も失わずに何かを手に入れる事は出来ない事実」のもとで、色々なものを天秤にかけて、
納得できる道を歩けたらいいな、と思います。

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■taeko kuroyanagi
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